「ロードバイクほしいけど、最初の一台はなにを選べばいいのか」という悩みを持っている人はめちゃくちゃたくさんいると思う、というか迷わずに買う人のほうが少ないだろう。
実際筆者も半年くらい悩み続けた。
ロードバイクは20~30万円くらいものが一番「ちょうどいい」モデルがそろっているように思える。
可能であればこれくらいのモデルに手を出してもらえるとのちのち後悔が出てきにくい。
が、これからロードバイクという未知の物体に触れる人にとっては「いきなり自転車に20万円出すのはちょっと……」と躊躇う方も多いだろう。
そこで、「なるべくお安いモデルで」「初心者が」「今(2021年現在)」選ぶべきロードバイクはどれか、それぞれのタイプ別にご紹介させていただく。
クロスバイクを考えている方はぜひこちらの記事をご覧いただきたし。
2021年現在のロードバイクのスタンダード
さて、実際にロードバイクを紹介する前に。
先ほど述べた「今(2021年現在)」とはどういう意味なのか。
これは、どうせなら現在スタンダードになっている・これからなっていくであろうシステムが搭載された自転車を選ぼう、という意味である。
多くの人と同じものを使う、というのはけっこうメリットがあって、たとえば機材の互換性があれば一緒にいった人とツーリングで助け合いができたりするし、ショップの在庫も豊富だったりするのだ。
実はロードバイク業界の常識というのはここ最近で瞬く間に変貌を遂げていたりするのだが、少々説明させていただく。
①タイヤが太くなった
ロードバイク、とひとくちに言っても様々な種類がある。
様々な場面に対応するオールラウンドモデル、長距離走行や快適さに特化したエンデュランスモデル、空気抵抗を減らすことに特化したエアロモデル、平坦の道のレースに特化したタイムトライアルモデル、未舗装路レース用のシクロクロス……などなど、これだけで解説記事を書けてしまう(ネットにはこの手の記事が氾濫しているので興味のある人は調べてみてください)。
で、オンロードのレースで使われるロードバイクというのは、基本的にはタイヤがめちゃくちゃ細い。
理由は簡単で、地面と密着する面が少なければ少ないほど抵抗が少なくなり、スピードが出やすくなるからだ。
2017年くらいまでは23C(タイヤ幅23ミリ)という規格のタイヤが一般的だった。
しかし2019年くらいに一気に25C(タイヤ幅25ミリ)が主流となったのである。
詳しい背景は割愛するが「23Cと25Cってあまりスピードの違いはないっぽいし、なんなら25Cのほうが諸々の効率いいし、太い分段差とかデコボコにも(若干)強くなるし、じゃあ25Cのほうがよくね?」ということで、25Cが主流となったというわけである。
というわけで、今選ぶのであれば25C以上のホイール・タイヤのものをおすすめしたい。
まあ現行ほとんどのモデルが25C以上のタイヤを履いているので、ほぼ自動的に25C以上にはなるわけだが、一応ね。
「25C"以上"」とはどういうことかと言うと、2021年現在では「28Cもいいんじゃないか」という話にすらなっているのである。
エンデュランスロード(長距離走行の快適性に優れたモデル)に至ってはデフォルトで32Cタイヤとかついていたりする。
とまあそんなわけで、こだわりがある人が23C以下のタイヤを選ぶのはけっして間違いではないが、初心者があえて細いタイヤを積極的に選ぶ理由もない気がする。
②ディスクブレーキの台頭
ロードバイクの、というか自転車のブレーキには大きく分けて二種類ある。
リムブレーキ(キャリパーブレーキ)とディスクブレーキである。
リムブレーキというのがみなさんもイメージがしやすいであろう、ブレーキ機構がタイヤのリム部分を挟んで制動するタイプのもの。
ディスクブレーキはこのディスク状の機構がブレーキキャリパーと呼ばれる部分で挟みこんで制動するタイプのもの。
どちらにもメリットはある。
リムブレーキのほうが軽く、比較的安価で、タイヤを外しやすい。
ディスクブレーキは比較的重く(最近は軽量化が進んでいる)、高価で、タイヤを外すのにまあまあ難儀する。
というように、どちらもメリット・デメリットはある。
しかし制動性はというとディスクブレーキのほうが圧倒的に高い。
悪天候時でも十分に機能する。
ディスクブレーキはもともと強い制動性を求められる競技機材、オフロード向けの自転車であるマウンテンバイクやシクロクロスにつけられていた。
ロードバイクは、長年、本当に長年、リムブレーキを使い続けてきた。
ディスクブレーキのモデルも存在してはいたがごく僅少だった。
ロードバイクはロードレーサーとも言うように、もともとは舗装路レース向けのバイクである。
したがってオフロード競技ほどの強い制動性は求められない。
また、ロードレースは複数人が団子になって走る競技であるため、急ブレーキを踏むと逆に危ないという事情もあるのだ。
そんな「リムブレーキ以外ありえない」とされてきたロードバイク業界だったのだが、2018年にUCI(国際自転車競技連合)がディスクブレーキを許可すると世界中の大会で解禁の流れが伝播し、各メーカーのラインナップでもあっという間にディスクブレーキの割合が増えた。
増えた、というか、完全に取って代わった。
長年、本当に長年使われ続けてきたリムブレーキが、ほんの数年前まで主流だったリムブレーキが、いまやディスクブレーキに完全に追いやられている。
本当にここ数年でガチのマジのパラダイムシフトがロードバイク界では起きたのであった。
スポーツバイクメーカーのラインナップを見ても、ミドル~ハイエンドのモデルにはほぼディスクブレーキが搭載されている。
メリダなんかはリムブレーキのモデルに「RIM」とつけてはいるもののディスクブレーキのモデルには「DISK」とつけていない。
「標準はディスクですよ」「リムがイレギュラーですよ」と言っているようなものである。
ロードバイクの楽しみ方に多様性が出てきたこともディスクブレーキの普及を後押しをしていると言える。
レースに出ないホビーレーサーにとって、制動性は高いに越したことがない。
であればあえてディスクブレーキを忌避する理由もない(着脱は確実に怠くなるが)。
というわけで、今選ぶのであればディスクブレーキ、できれば油圧式のものがいいだろう。
ディスクブレーキには機械式と油圧式があるが、油圧式は非常に少ない力でブレーキをかけられるからだ。
もちろんリムも悪くない。
愛好家もいるし、ディスクブレーキが主流となってもある程度は生き残っていくはずだ。
しかし、こだわりのない初心者であればディスクブレーキを選ぶべきだろう。
ただ逆にリムブレーキの完成車を新品で買えるのは今だけかもしれないし、今のうちにあえてリムブレーキを体験しておくのも悪くないかもしれない……?
というわけで、2021年現在においては、こだわりがない限りは25C(以上)のタイヤ幅でディスクブレーキの自転車を選ぶのがベターと言える。
しかし目まぐるしく変わっていく自転車業界なので、数年後に同じことが言えるとは限らない。
先ほどは挙げなかったがチューブレスタイヤもかなり流行りはじめている。
来年あたりに「まだチューブタイヤ使ってんの?」となってもおかしくはないかもしれない。
大前提に
さて、これを踏まえて本題である。
初心者が選ぶべき、具体的なモデル――商品の話。
正直、そんな記事はインターネットを検索すればいくらでも出てくる。
というわけでここは個人ブログならではの癖の強さ・偏見さで書いていきたい。
まず大前提として、新品で、実店舗で買おう。
初心者であれば少しでも状態がよいものが望ましい。
知り合いからタダでももらえるとかであれば話は別であるが。
そして通販ではなく実店舗がいい。
身体の寸法を測って適切なモデルを案内してもらえるし、なにより店とのコネクションができるのが大きい。
ほとんどのバイクショップでは自分の店で購入してくれた人にはなんらかの融通を利かせてくれる。
とはいえスポーツバイク専門店に行くのに躊躇してしまう人もいるだろう。
そういった店にはなんとなく独特の近寄りがたい雰囲気が醸し出ていなくはない。
たしかに「気難しい店主」に遭遇する率で言えば、スポーツバイク専門店はカレー屋と並んでツートップだと思う。
不安な人は業界最大手のチェーンであるワイズロードか、メーカーの直営店を選んでおけば間違いない。
嫌な思いをする確率はかなり減るはずだ。
個人店は個人店ならではの形で顧客を大事にしてくれたりもするので、まったく否定するつもりはない。
そういったショップと懇意になることのメリットも計り知れない。
しかし企業的で画一的で癖のない接客を受けたいのならば大手か直営店に行こう。
というわけで「今」初心者が選ぶべき「極力安い」モデルを、初心者の傾向別に紹介する。
A.とにかく安さが正義。
B.ロードにハマる気配があり、レースに出ることを考えている。スピードを出したい。
C.ロードにハマれるかどうか不安。失敗のない買い物がしたい。
の三本です。
A.とにかく安さが正義。
「とにかく出費を抑えてロードバイクに乗ってみたい」という方はこちら。
コストパフォーマンスで言えば台湾メーカーであるジャイアント、メリダの二大巨頭。
極力安くて間違いがないものとなればこのふたつのメーカーから探せば間違いない。
通販専門でドイツからの個人輸入となるがキャニオンという手も……あるが初心者がひとりで買うにはハードルが高い。組み上げも必要だし。
なおいくら安いからと言って大手通販サイトで2~3万円などで買えるロードバイクもどき(ルック車)はおすすめしない。
あなたが「とにかく安くてかっこいい見た目の自転車に乗りたい田舎の高校生」だとしたらまた話は別だが。
「ルック車は練習に最適」などと言う人もいるが、そんなん買うなら5万円出してジャイアントかジオスあたりのクロスバイクに乗ったほうがいいと思う。
あとドロップハンドルだからと言って練習なんていらないぜ。
脱線した。
そんなわけで具体的にどんなモデルがいいのか挙げてみる。
①GT - GT Road Sport
https://www.riteway-jp.com/bicycle/gt/bikes/gtr_sport_6091/
109,780円(税込)
ジャイアントかメリダから探せと言いつつGTである。
機械式だが、ディスクブレーキのバイクで最安値となればこちらだろう。
タイヤが28Cの太さであるのも初心者には安心感があってよい。
少し前までは23C、25Cが標準だったのに、エントリークラスは28Cのタイヤを履いている時代か……。
しかし、全体的に野暮ったさがあるというか、若干「ロードレーサー味」に欠けているように思えなくもない。
まあGTはマウンテンバイクを主としているブランドなので……。
②コーダーブルーム - FARNA TIAGRA
https://khodaa-bloom.com/bikes/farna/farna_tiagra/
121,000円(税込)
ジャイアントかメリダから探せと言いつつコーダーブルームである。
そしてディスクブレーキを選べと言いつつリムブレーキである。
これ、エントリークラスのロードバイクとしては大本命のバイクと言える。
値段はエントリークラスだがコンポーネント(パーツ群)がエントリークラスではない。
ちょっとここでコンポーネントの解説をさせていただく。
コンポーネントの世界的大手は三社。
シマノ、カンパニョーロ、スラムである。
このうち世界一のシェアを誇るのが日本のシマノ。
大阪府堺市にある。
ちなみに釣り具メーカーとしても超一流だ。
で、このコンポーネントには各社ランク別に製品を数種類展開している。
シマノ社であればこんな感じ。
で、コーダーブルームのFARNA Tiagraというロードバイク、その名の通りコンポーネントはミドルクラスのティアグラを採用しているのである。
この価格帯だとコンポーネントはクラリス、がんばってもソラにとどまる。
しかしこの自転車、12万円程度でティアグラ完成車を買えてしまうのある。
しかもブレーキはワンランク上の105がついている。
何事?
ディスクブレーキはどのランクでも制動力が変わらないのだが、リムブレーキに関してはランクで大きく性能が変わる。
レース向けコンポである105のブレーキがついているのは非常にうれしい。
また「機械式ディスクブレーキ乗るなら105のリムブレーキを使ったほうがいい」という意見もあったりするし、下手な機械式ディスクブレーキより買いかもしれない。
まあそれでも雨だと機械式ディスクのほうが止まりやすいとは思うが。
B.ロードにハマる気配があり、レースに出ることを考えている。スピードを出したい。
であれば最低でも30万円くらいのカーボンロードを買ってしまったほうがいい。
安くないじゃないかって?
うるさい、レースに出る気マンマンなら最初から30万円くらい出してしまえ。
そうしたほうがのちのち後悔がない。
レース出場も視野のガチ志向であれば以下の条件はクリアしたい。
・カーボンフレーム
・コンポーネントが105以上
現在ロードバイクの車体に使われている素材は主流なものが三つ。
アルミ、クロモリ、カーボンだ。
チタンやスタンジウム、あとは竹なんて素材もあるがこれはマニアック。
それぞれの素材の違いはそれだけで記事一本書けてしまうし、ネットにはその手の記事が氾濫しているので探してみてください。
ちなみに先ほど「A.とにかく安さが正義」で挙げた自転車は両方ともアルミフレームである。
これは単純にアルミのコストが低いからエントリーモデルに使われるのであってけっしてアルミが素材として劣っているということではない。
単純にスピードを出したい・レースで勝ちたいならカーボン一択である。
カーボンはシンプルに車体が軽く、漕いだ力が伝わりやすいからである。
一択、は言いすぎだがレース向けのミドルクラス~ハイエンドモデルになると素材はほぼカーボンだ。
プロの現場はほぼカーボン。
中にはアルミを使っている人もいなくはないが、99パーセントはカーボンフレームである。
ロードにハマる自信がある・レースに興味がある・ヒルクライムをガシガシしてみたい・なによりも軽快な走りを優先させたい、ということであればカーボンフレームを選択するべきだろう。
しかしカーボンは一点にダメージが加わるとバキッと一瞬で壊れてしまうという弱点がある。
扱いに慣れない初心者にとってカーボンは不向き、と言われている理由のひとつだ。
よほど心配な人はもちろんアルミでもいいと思う。
フレームはアルミでもいいが、レースに出るのであればコンポーネントは最低でもシマノの105が搭載されたものにするべきである。
街乗りや軽いポタリング、ロングライド程度であればティアグラ以下でも問題はない。
しかしこれがレースとなれば変わってくる。
まず大前提として、105以上は「レースでの使用を視野に入れて」つくられているコンポーネントだ。
大会によっては「コンポーネントは105以上であること」という規定が設けられていることがある(おそらくブレーキ能力などの安全性も考慮してだと思われる)ので、少しの制約も設けたくない人にとってコンポーネントは105未満にはできない。
もちろんアルテグラ組みの自転車を買ってもいい。
デュラエースは鬼高いからいきなり買う人はいないだろう。
いる? いるか。
あとはレースに出なくても、のちのちのアップグレードなどを考慮すると同じ11速でデュラエースやアルテグラと互換性の効く105にしておけば後悔が起きにくい(とか言ってたら近々デュラエース12速化するんですか?)
まあ抜本的にコンポ全体とっかえてしまってもいいわけだが。
で、カーボンフレームでシマノ105で……となれば、それなりの値段になってしまうので、レース出場も視野とかであれば30万円は出しましょうってハナシ。
まーた前置きが長くなった。
カーボンフレーム・105・さらに油圧式ディスクブレーキのモデルで最安値となればこのあたり。
①ジャイアント - TCR ADVANCED 2 DISC KOM
https://www.giant.co.jp/giant21/bike_datail.php?p_id=00000093
302,500円(税込)
出たジャイアント。
フルカーボン・フル105・油圧式ディスクブレーキを30万円程度で買えてしまうコスパの鬼。
ジャイアントは安いというだけではなく様々な大会で実績を残している、レーシング機材としても信頼のおけるメーカーだ。
②メリダ - SCULTURA 4000
https://www.merida.jp/lineup/road_bike/scultura_4000.html
308,000円(税込)
同価格帯で言えばやはりメリダも択。
ジャイアント同様、レーシング機材としての実績も十分すぎるほどに十分。
こちらは基本105だがギアクランクが廉価版。
これひとつで性能がどこまで違うのかは筆者にはわかりません。
ただジオメトリがより実戦向けっぽい感じがする。
「空力性能高いでっせ~」「スピード出しまっせ~」といったギラついた形をしている感じがする。
ただ筆者はそこまで詳しくないのでわかりません。
デザインは圧倒的に優勝。
C.ロードにハマれるかどうか不安。失敗のない買い物がしたい。
グラベルロードを買え。
これが言いたくてこの記事を書いたまである。
「ロードバイクの楽しみ方に多様性が出てきた」と述べたように、レースに出ること・速く走ること・激坂を踏破することにこだわらない人が増えている。
実際筆者もそう。
気ままにソロか少人数でポタリング~ロングライドすること以外には目的がない(エンデューロイベントには興味があるが)。
そういったニーズにこたえ、業界はここ数年コンフォートモデル(快適性重視)のラインナップに力を入れている。
そういった需要に後押しされ、一気にジャンルとして確立されたのがグラベルロードという自転車である。
「オールロード」「アドベンチャーロード」とも言ったりする。
・ドロップハンドルかつ、舗装路でも悪路でもバランスよく走れる自転車がほしい。
・長距離を走っても疲れない快適性がほしい。
・荷物をたくさん搭載したい。
こういった要望をすべて解決するのがグラベルロードである。
こんなん(写真はフジのJARI)。
もともとグラベルロードはアメリカ発祥のジャンル。
大自然広がるアメリカは荒野が何百キロも広がっている区間がめずらしくはなく、そういった道を快適に走る目的でつくられたのがグラベルロードだ。
グラベルロードはドロップハンドルであるし、一見は普遍的なロードバイクとは大差がない見た目である。
一番の違いは太いタイヤだ。
一般的なロードバイクが19~28Cくらいであるのに対して、グラベルロードはクリアランスが広く設計されており、28〜47Cのタイヤをつけることができる(もちろんモデルによって異なる)。
太いタイヤは安定性が増し、悪路に強くなる。
また空気圧も低くできるので乗り心地もやわらかい。
スピードはやはり一般的なロードバイクよりは劣る。
悪路走破性は一般的なロードレーサーより断然高いが、さすがにマウンテンバイクのように山を駆け抜けたりはできない。
「速さを犠牲に悪路走破性と長距離快適性を獲得した、ツーリング向きのロードバイク」がグラベルロードだと思ってもらえたらよい。
「速さを犠牲に」つってもママチャリやクロスバイクに比べるとぜんぜん速い。
あくまでも一般的なロードバイクと比べると劣る、という話である。
とまあそんな器用貧乏さから「こんなの日本だと流行らないよ」と言われていたジャンルだが、そんな声とは裏腹に大流行し地位を確立した。
だって、こんなに「ちょうどいい」自転車はない。
このグラベルロードという自転車、実は初心者にはすごく良いモデルであるように思える。
まず、見ての通りアップライトポジションのため、一般的なロードレーサーより前傾姿勢になる必要がない。
あと、買って無駄になることがないのが大きい。
ロードバイクを買ってすぐに乗らなくなってしまう人の理由として以下のようなものが挙げられると思う。
・乗る機会(時間)がない。
・思ったよりキツいスポーツだった。
・脚力マウント、機材マウントを取られることに辟易した。
大丈夫、これらはグラベルロードで解決だ。
グラベルロードは通勤通学など普段の脚としても利用できる。
もちろん普通のロードバイクもそのようには使えるが、やはり細いタイヤはパンクや段差が怖い。
筆者もごく近場の移動はママチャリを使っており、「今日は走るか」という日だけロードバイクに乗っている。
普段使いするにはマシンとして過剰だし。
グラベルロードはタイヤが太く悪路走破性の高いタイヤを履いているので、街中の段差やゴミ(ガラス片など)、道路の荒れなどを気にしなくてもいい。
段差やゴミや道路の荒れというのは、一般的なロードバイクだとかなり神経を使うのである。
グラベルロードはそれを気にしなくてもよい。
あとはまず間違いなくディスクブレーキなので雨の日も安心。
「乗る機会が作れない」「てかロードバイクって想像以上にキツかったわ」とリタイアする人は、普段使いに用いてしまえばいいのだ。
説明の通り、グラベルロードは普段使いするにももってこいのモデルである。
街乗りに使ってしまえ。
またグラベルロードは、SNSや掲示板などで機材マウント、脚力マウントをする行儀の悪い輩からも解放される……かもしれない。
ロードバイクというのは非常に乗り手のマナーが悪いスポーツなのは周知の事実だと思う。
安いブランドをこき下ろしたり安いモデルをこき下ろしたり安いコンポーネントをこき下ろしたりする奴がわんさかいやがるのである。
巡航速度が遅い人をこき下ろしたり坂を登れない人をこき下ろしたりする奴がわんさかいやがるのである。
たしかにロードバイクというのはもともと競技用自転車ではあるが、みんながみんなガチである必要はない。
プロ野球があるのなら草野球があってもいいだろう。
そしてその草野球の中でマウントを取り合わなくてもいいだろう。
とまあ、そういった地獄がロードバイク界隈には存在するのだが、グラベルロードはそういったマウント合戦から外れることができると言えなくもない。
そもそも競技用自転車ではないからだ(最近だとグラベルロード用の大会があったりもするが)。
ツーリング、ロングライド、バイクパッキングといった用途に使われる自転車だから、マウントをとられることはあまりないだろう。
スピードも出ないし、ヒルクライムにも向かないのだから。
まあ「グラベルロードとかいう中途半端なモデル乗ってるやつダセェな」とか言ってくる奴もいるかもしれないが……まあそういうのはキリがないので。
というわけで、のんびり乗れる万能自転車ことグラベルロード。
みんなも買おう。
デメリットは車体が重めになるのと(初心者はそもそもそんなことに気にしないと思うが)、普通のロードバイクに乗っている人とのツーリングがもしかしたら少々行きにくいことだろうか。
やはりスピードは出ないしヒルクライム性能も高くはないので、ペースを合わせられなくなる場面が出てくるかもしれない。
まあ、ゆくゆくロードバイクにハマって「もっとガシガシスピードの出るチャリに乗りてぇ!」「レースに出てぇ!」となれば、その時に105やアルテグラで組んだ高級ロードでも買えばいい。
グラベルロードは、たとえ決戦用バイクを購入しても、普段使い用、グラベル走行用、ロングライド用、バイクパッキング用、ツーリング用のバイクとして、絶対的サブ機として君臨しつづけるはずである。
というわけで最初に安価なグラベルロードを買うというのはなかなか賢い選択であるように思う。
というわけでなるべく安いモデルからのおすすめは以下。
①ジェイミス - RENEGADE A1
https://www.jamis-japan.com/renegade-a1.html#rea1anopalladium
108,000円(税込)
アドベンチャー系バイクに力を入れているジェイミス。
これはロードバイクとシクロクロスとマウンテンバイクのいいとこどりをしたモデル。
グラベルロードで最安値だとこのモデルだろう。
②ルイガノ - MULTIWAY700
https://www.louisgarneausports.com/multiway700.html
126,500円(税込)
こちらは純粋なグラベルロードというよりは「街乗り」のエッセンスを多く注入したモデル。
フェンダー(泥除け)が最初から搭載されているのはめずらしいが、通勤通学などに使う、天候を選べない人にとってはうれしいだろう。
またペダルがついているのも初心者にはうれしい(ロードバイクのペダルはほとんどの場合別売りなのだ)。
「ロードバイク、そんなスポーティに乗り回す自信ないなあ。とりあえず街を快適に走って、たまにサイクリング行けたらいいよ」という人には最適のモデルと言える。
なるべく安いやつ、ということで2台とも機械式ディスクブレーキの紹介となったが、軽いタッチでブレーキを作動させたい人にはやはり油圧式を進めたいところ。
最後に
ウダウダ言ってきたが、いちばん後悔しないのは「自分の予算内で一番見た目が気にいったもの」を選ぶことである。
自転車屋でぱっと見のデザインやロゴが気に入ったものに出会えたら、それを買ってしまえばいい。
性能重視の人・自転車の用途に確固たる目的がある人は別だが、スポーツバイクのメーカーが出しているロードバイクであればまず「ハズレ」を引くことはない。
これから人馬一体となる相棒なのだから「見た目が気に入っている」というのはかなりのモチベーションになる。
リムだろうがディスクだろうがクロモリだろうがカーボンだろうがハイエンドだろうがエントリーモデルだろうがエンデュランスだろうがエアロだろうがグラベルロードだろうが愛着さえもってしまえば関係ないのだ。
まあ最初からタイムトライアル用(こんなの)みたいな尖った性能のやつを選ぶのはやめたほうがいいとは思うけど……。
そんなわけで、素敵なロードバイクライフを送ってください。
踏ん切りがつかない人は鬼頭莫宏先生の『のりりん』を読め。
絶対買いたくなる。筆者はこれを読んでロードバイクを買った。