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なぜギタリストは下手クソが多いのか

こんな記事を書いたらわりとバズってしまった。

ayasumi.hatenadiary.jp

寄せられたコメントを見ると賛否両論喧々諤々といった具合で、40%の賛同と40%の罵倒と20%の「記事の中身読んでなくて(あるいは読めてなくて)適当なこと言ってるやつ」という感じでした。

 

まあタイトルが強すぎたきらいはあるし、内容もいささか主観的なところがあったし、文章にも癖があるし、当然の帰結ではある。

 

というわけで、この記事では前回の二の舞にならないように細心の注意をはらって……いません。

今回もおおむねそういうノリのタイトルと記事内容になっている。

 

とはいえ反省を活かしてアナウンスはしておく。

 

・タイトルでムカついた人は読まないでください。あるいは最後まで読んでください。

 

・この記事で言う「ギター」「ギタリスト」はクラシックギターやジャズにおけるギターではなく「ロックバンドのエレキギター」にフォーカスしています。

 

・筆者自身の音楽的能力の低さ、演奏技術の拙さは棚に上げています。

 

・趣味でギターをやっている人についてはまったく咎めるつもりはありません。

 

・人には人の乳酸菌、人には人のイデオロギーがあるように、記事中で語るプレイスタイルのギタリストを全否定するつもりはありません。

 

・ジャンルによっては筆者の主張があてはまらないことも理解しています。

 

こんなものでいいか。では本編に入ります。

 

目次

 

イントロ

ギター。

 

おそらく日本で一番演奏人口が多い楽器である。

 

いやいやピアノだろクラリネットだろという声も上がってきそう。たしかに幼少期にピアノを習う人はかなり多いし、吹奏楽部でクラリネットを担当する人だってそれなりの数がいるわけだが、みんな大人になるとパタリとやめてしまうわけで、アクティブに稼働している演奏人口が一番多いのはギターだろう。

 

ゆえにそもそもの母数が多いわけだが、だからといって単純に下手クソが多いわけではない。

 

その人口のうち下手クソの割合が圧倒的に多いのが、ギターという楽器である。

 

さて、なぜギターは下手クソが多くなってしまうのか(これの是非を議論していると記事にならないので断言して進みます)。

 

①基本独学だから

 

ピアノ、ヴァイオリンなどの弦楽器、クラリネットなどの管楽器を独学ではじめる人は少ない。

 

なぜならこれらの楽器はそもそもの演奏技能の習得が難しい上に、主戦場となるクラシック分野を演奏するにはそれなりの知識が必要だからである。

 

対してギター。

 

これはもうほとんどの人が独学ではじめるのではなかろうか。

 

初期投資費も安く済ませられ、(エレキで、アンプに繋いだりしなければ)音も大きくなく、部屋に置いても専有面積が小さいため、気軽にひとりではじめることができる。

 

そして独学でもある程度弾けるようになるところまでは容易であり、ロックやポップスであれば基本的にコードとキーくらいがわかれば演奏も作曲もできる。

 

というわけで、西洋音楽の基礎を押さえないまま習得しがち、そしてそのままでいがちなのである。

 

べつにそれが悪いことだとは言わないが、西洋音楽の基礎を押さえておかないと人と音楽をやるときに共通言語がなくて困ってしまうぞい(そういうことについて書いた記事はこちら)。

 

対してドラムなんかはわりとプロのレッスンに通っている人が多い印象である。筆者の体感としては9割の人が非独学。

 

そのためドラマーは楽譜を読める人がギタリストやベーシストに比べ圧倒的に多い。ていうかドラムはわりと楽譜を理解していないと演奏できない楽器である。

 

ドラムは家で練習がやりにくいというのもあるが、そもそも独学で習得するにはなかなかしんどい楽器で、なのでだれかに習うことが多い。

 

その点ギターはわりと独学でもある程度は習得可能で、そのために上手い人に習おうという意志が希薄となり、ゆえに基礎をすっとばしている(=下手クソになる要因のひとつ)ことが非常に多いのだと思う。

 

でもやっぱりね、筆者の周りの上手いギタリストやベーシストはちゃんとレッスンに通っていた人だし、独学でもしっかり理論勉強した人ばかりですわよ。

 

②理論がわからないから

①でも述べたように、理論がわかる人・楽譜を読める人が非常に少ない。

 

本当に少ない。

 

いない。

 

拍子の概念すら知らないでやっている人もめずらしくはない。

 

ギターの教則本などでも「楽譜を読めるようになろう!」みたいなプロセスをそもそも載せていないことも多い印象である。

 

③ある程度は才能で弾けちゃうから

筆者の周りには「なんとなくネックを抑えて、出た音を弾いている。これがなんのコードかはわからないけれど、とにかくそれっぽい音が鳴っているので、これでいい」という人間が何人もいる。

 

ひとりふたりではなく、何人もいるのである。

 

海外の著名なプロミュージシャンでもけっこういたはず。

 

これは本当に不思議で、ほかの楽器ではまず見ない現象な気がしている(ピアノとかで本当に稀にいるけど)。

太鼓とかならまだしも、なんであんな複雑な構造の楽器を
本能で弾けてしまうんだよ。素直にすげーよ。

 

④弾けたらそれだけで恰好ついちゃうから

これは筆者の持論なのだが「演奏が難しい楽器」=「ライブパフォーマンスが難しい楽器」だと思っている。

 

「タンバリンならおれでも叩ける」「トライアングルくらいならできる」などとのたまったりする人もいるが、じゃあパーカッションで30分ステージをこなしてみろと思う。

 

聴衆に「違和感なく」「魅せる」ことを意識すると、実はピンボーカルとパーカッションがダントツで難しい。

 

対してギター、そしてベース。

 

なにをどう弾いてもそれなりに恰好ついてしまうのである。

 

どれだけ簡単なフレーズでも、もはやギターを弾いているだけで恰好いい。

 

亀川千代は棒立ちで直線的なフレーズしか弾かないが、格好いい。

 

音楽に造詣のない人からしたらギターを弾いている人を前にしてもなにやってるかわからない。ギター弾いてるってだけでもう私を抱いて状態である。

ドラムなんかは下手クソだとすぐバレますからね。人に見せられるようになるまで・人を魅せられるようになるまで時間と労力を要します。

⑤味・パッションを言い訳にしてるから

あくまでも筆者の体感で主観でしかないのだが、ギタリストは「いや、これがおれの味なんで」を言い訳に下手クソであることを正当化しがちな気がしている。

 

直線的なフレーズしか弾けないくせに「直線的なフレーズを弾くのがおれのスタイル」などと言いがちな気がしている。

 

パッションプレイしかできないだけなのに「ギターはパッションで弾くもの」と思っちゃっている人が多い気がしている。

 

ドラマーなんかは「おれはまだまだ下手だからもっと練習して上手くならなきゃ」という気持ちを持っている人が通常だと思うんだけど、ギタリストにそういった考えの人はめちゃくちゃ少ない印象。

 

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さて、ここまで挙げた要素だが実はベース・ベーシストとも共通する事項である。

 

これより以下はギター・ギタリスト独自の要素について述べたいと思う。

 

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⑥バンドに及ぼす影響力が小さいから

バンドをやったことがある人ならわかると思うが、ベースやドラムに比べると、ギターはバンドに及ぼす力が圧倒的に小さい

 

バンドというのはドラムが上手くてベースが最低限弾けていればそれだけで「普通に良いバンド」となることができる。

 

ギターが下手でもベースとドラムが抜群であればある程度カバーできる。わりと自由にプレイしても問題ないし、ミスをしても目立ちにくい。

 

わりと甘えられる環境にあるため、無自覚に甘えてしまっている人は少なくない……と思う。



⑦アタック感がないから

これもギターの責任感が薄まることの一助となっている要素。

 

世間ではエレキギターを「攻撃的な音を出す楽器」と誤解している人も多い(いや音作りによってはいくらでも攻撃的にできるけどさ)が、そのイメージとは裏腹にエレキギターはアタック(音の出始め)が柔らかい。

 

世間で「優しい音色」だと思われているアコースティックギターの方が激烈にアタックが強い。

 

このエレキギターのアタック感のなさが起因で、テンポ、リズム、タイム感への意識が薄いギタリストが多い(=下手クソが多い)のではないかと、筆者は推理している。ごめん、これはガチの想像です。

 

てかベースとドラムのことを「リズム隊」と表現するのもよくないと思う。ギターだってリズム刻んでるのに。ギタリストがさらにリズムを意識しなくなっちゃうだろうが。

 

⑧コード弾きばっかしてるから

これが書きたくてこの記事を書いたのでこれまでのはすべて前置きです。

 

コード弾き、やめろ。

 

コード弾きなんかしてもひとつもいいことはない。

 

今すぐやめろ。

 

それかギターやめろ。

 

いやすみません、極端なことを言っているのは自覚していますが、わざとなんで……

 

ギターを弾きはじめるにあたってみなさんが一番最初にやることはおそらくコード弾きの習得かと思う。

 

最初はそれでいいし、そうであるべきだとは思うが、コード弾きが基本になってはいけない。

 

たしかに、パンクなどの音圧とパッションが第一の音楽、シューゲイズなどの音の壁をつくることが目的の音楽、ベースレスのツーピースバンドといったコード弾き主体にならざるをえないバンドもなくはない。

 

しかしそれ以外のバンドよ。ベースがルートを弾いているのに、まったく同じ役割のコード弾きをわざわざする必要がどこにあろうか。ギターがふたりいてふたりともコード弾きする必要がどこにあろうか。

 

ない。

 

「でもコード弾き以外にやることがない」んだったら、弾くな。


「おれはボーカルだから歌いながら難しいフレーズは弾けない」んだったら、弾くな。

とりあえずでコードを弾くな。

無難と思いきや、そうでもないぞ。

ベースとギター1とギター2が同じようなことを弾く(コード・ルートをなぞって音の壁をつくる)アレンジはあまりよくない……と筆者の知り合いのベテランプロミュージシャン(嘘松ではなく実在する人物です)も言っていたので、たぶん間違いではないはず。

 

「楽器の役割分離」をするだけで曲のアレンジはひとまず70点のクオリティにはなると思う。

 

コード弾き主体のプレイヤーになってしまうと

・コード弾き以外の引き出しが乏しくなるし、

・曲が稚拙なアレンジに聞こえる(=下手クソに思われる)

ので、よくないですよ。

 

とまあこんな極端で乱暴なことを言ってしまうとART-SCHOOLやらASIAN KUNG-FU GENERATIONやらを否定してしまうことになってしまうわけだが「とりあえずコード弾きしといたろ」みたいな甘えの文化がギタリストのスキル停滞とアレンジの稚拙化に一役買っている感は否めない。

 

「ギターボーカルはバッキングでコード弾き」みたいな固定観念もよくない。

コード弾きはひとつの奏法・手段でしかなく、乱用していいものではないと思う。

 

アウトロ

というわけで、ギタリストに下手クソが多い理由を非常に主観的な持論で書いてみた。

 

また賛否はあると思うが、好きにしてください。

 

最後に筆者が理想的だと思うアレンジの曲をひとつだけ貼っておきます。

テレ東

テレ東

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