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パーカッションがどういったパートなのかよく知らない人へ ~邦楽ポップスにおけるパーカッション~

パーカッションというパート、みなさまご存知だろうか。

もしかしたらマジで知らない人いるかもしれない。
あるいは知っているけどなにをやっているのかわからないという人が大多数だと思う。

パーカッションを知らない人には知ってもらうため、
ふんわりとしか知らない人にはガッチリと知ってもらうため、
4200字ほどしたためたのでよろしゅう。

 


パーカッションとは

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わたくしのセット。

パーカッションとは、コンガ、ボンゴ、タンバリン、シェーカー、ウィンドチャイムなど様々な打楽器を演奏するパートである。場合によってはマリンバやグロッケンなどの鍵盤打楽器やティンパニなども演奏する。
ドラムのリズムを補強したり曲に装飾をつけたりと役割は様々。

で、このパーカッションというパートだが、
「ああ、なんかバックバンドでチャカチャカしてる人ね」くらいの認識の人が大多数だと思う。

バンドといえば「ギター、ベース、ドラム。場合によってキーボード」といった編成を思い浮かべる人がほとんどだろう。

パーカッションが参加しているバンドは、まあ少ない。
ギターやキーボードに比べると起用率は断然少ない。
それこそソロシンガーのバックバンドなどでしか見かけないだろう。
「ロックバンド」の「正式メンバー」としてパーカッションパートが在籍しているバンドはサザンオールスターズくらいではないだろうか(スカパラとかは「ロックバンド」のくくりではないし)。
ぼくもそうだったけど、サザンオールスターズ知ってるのにパーカッションのメンバーがいることを知らない人多いよね。

そしてここ20年はマジのマジで楽曲にパーカッションを取り入れることが減少している、と思う。
ウィンドチャイムが入っていたりタンバリンが入っていたりということはあるが、がっつりコンガを入れる、みたいなアプローチが本当に減った。
ここ最近のロックバンドでパーカッションを本格的に取り入れているのはOfficial髭男dismくらいのものだろう(ソロシンガーならけっこういるがロックバンドで、となるといない。いつの時代でもそうか)。

メジャーの世界でもそんな感じなのだから、これがインディーとなればもうマジで壊滅的に存在しない。
パーカッションを入れているバンドもいないし、パーカッショニストもマジでおらん。
ギター>>>>>>>>>>>>>>>>>ベース>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ドラム>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>キーボード>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>パーカッション
といった具合。


パーカッションには需要がなければ供給もない。
つまりだれも困っていない。
じゃあいっか。

待て。

パーカッション、入れろ。

ギターロックのオルタナバンドとかは、まあいいけど、めっちゃポップなバンドなのにパーカッションが入っていないのは違和感すら覚えますよ。入れろや。
メタルなのにギター入ってないバンドとか、いないでしょ?(見てみたいとは思うが)

単純にみんな「パーカッションを入れよう」という発想に至らないのであるよな。
なぜならみんなシンプルにパーカッションのことをよく知らないから。

ギターやベースやキーボードは自分が弾けなくても、なんとなくどんなアプローチをするのか想像がつくだろう。
しかしパーカッションはまず楽器が多すぎるし、どんな曲にどんなアプローチをしているのかみなさんまったく知らないと思う。

じゃあ知りましょうよってことで、パーカッションが印象的な邦楽曲を年代順に挙げてみる。
個人的なアレなので「なんで●●が入っていないんだ!」みたいなクレームは勘弁してください。ていうかコメント欄でおしえてください。

 

①くすりをたくさん(大貫妙子

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くすりをたくさん

くすりをたくさん

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とても1978年の曲とは思えない。アバンギャルドでキャッチー。

パンは右にティンバレス(前半はカウベルが主体)、左にコンガが振られている。

この曲のパーカッションはマジで音量がデカい。
一般的にパーカッションはミックスで埋もれさせがちだがこの曲は「主役です」と言わんばかりに目立っている。
フレーズもかなり遊んでいるのに邪魔ではないという絶妙なバランス。

この曲が所収されている『SUNSHOWER』は全編にわたって坂本龍一氏が編曲を担当。
演奏陣もその時代の旬の人を集めましたという感じでかなり豪華。
パーカッションは「この人いろんなところに参加しすぎやろ」で有名な巨匠・斎藤ノヴ氏。
ちなみにバックグラウンドボーカルとして山下達郎氏が参加している。


青い珊瑚礁松田聖子

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青い珊瑚礁

青い珊瑚礁

  • 松田 聖子
  • J-Pop
  • ¥255
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こちらの曲は1980年。40年前の曲なんだ……。

鬼のコンガ。
最初から最後までコンガ。
コンガの課題曲として使ってもいいほどにコンガ。

めちゃくちゃ有名な曲だけどコンガが入っていることはみんな知らなかったのではなかろうか。
かく言うわたくしも最近知った。
トゥンバオを基本にセクションごとにリズムが切り替わるので聴いていてかなり楽しい。
松田聖子にはパーカッションがゴリゴリに入っているので他の曲も聴いてみてほしい。


③どんなときも(槇原敬之

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1991年リリース。
言わずもがなだが槇原敬之氏はこの曲で一躍有名になった。

これイントロがパーカッションアンサンブルからはじまるの知ってました?
知らないよね。だれもが聴いたことのある有名な曲なのにね。

使用しているパーカッションの数がえげつない。登場順に紹介。

ティンバレス
・ギロ
・クラベス
・タンバリン
ティンパニ
・コンガ
カスタネット

多すぎ。ラテン音楽

パーカッションは前述の斎藤ノヴ氏に並ぶ巨匠の三沢またろう氏。
もう本当にいろんなところで見ますよね。『あつまれどうぶつの森』のメインテーマのパーカッションも三沢氏。

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④PRIDE(今井美樹

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1996年リリース。
ワイ将2歳。

トライアングル、カバサ、スレイベル、ツリーチャイムなど金物が主体。後半のティンパニも印象的。
「小型の金物楽器をメインにアレンジするならどうするか?」の解答、のようなアレンジであるといえよう。
パーカッションといえばコンガ、みたいなところあるんだけど、コンガレス(そんな言葉はない)でパーカッションが印象的な曲を挙げろと言われたら真っ先にこれ。

2拍目裏にスレイベルを入れるというセンスがマジでしびれる。
思考停止で4拍目頭に入れがちなわたくし、初めてこの曲を聴いた時にはコペルニクス的転回を起こして失禁した。


渚にまつわるエトセトラPUFFY

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1998年リリース。
ワイ将4歳、親父のエロ本を発見して性の目覚めを起こす。

青い珊瑚礁』と同じくずっとコンガが鳴っている。
ストリングスの感じもそうだけど『青い珊瑚礁』をオマージュしているんじゃないかなと思う。

後半リズムがワワンコになるのが本当にたまらん。


⑥君はそう決めた(坂本慎太郎

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2011年リリース。
急にワープ。マジで2000年代以降はパーカッション冬の時代。
おれが知らないだけか。だれかゼロ年代のおすすめおしえてほしい。

坂本慎太郎といえばコンガ。
坂本慎太郎といえばパーカッション。
イントロでわかっちゃうけどこの曲はコンガが支配している。
坂本慎太郎の曲はドラムがほとんど三点のみで一切クラッシュシンバルを使わない。そのためパーカッションがかなり際立つ。

坂本慎太郎みたいに楽器は多いんだけどそれぞれのパートの分離がハッキリしている音楽、いいよね。
あとサックスソロかっこよすぎるだろ。

 

⑦上海an(相対性理論

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2013年リリース。
真部脩一氏と西浦謙介氏の脱退後初のアルバム。

この時期の相対性理論はitoken氏が曲によってドラム(ドラマーは別にいるのでツインドラムになる)、パーカッション、キーボードとマルチにプレイしている。

このアルバムはitoken氏の色がかなり濃く出ている。『上海an』は顕著。
itoken氏はあまりラテン系やアフリカ系の膜鳴楽器は使わない印象(この曲ではボンゴ?が一部で登場)。この曲は彼の得意な?カウベルやジャムブロックが活躍しています。
何気にここまで紹介してきた中で素直にタンバリン振っている曲はじめてでは?


⑧最後の恋煩い(Official髭男dism)

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2020年リリース。
2010年代はガチで邦楽がクソダメな時期だった、とよく言われている。そしてパーカッション氷河期。
ここ最近少しずつパーカッション流行ってきてる?気がしますがどうでしょう。

髭男バカにしてる自称音楽通マジでセンスないからちゃんと聴いてほしい。
マジでアレンジがよすぎるに尽きる。
キーボードがおしゃれすぎ。ホーンかっこよすぎ。

この手のバンドっていくらでもアイドル売りできるはずなんですよ。
サポートメンバーの存在なんて、一部の、ひょっとすると大多数のファンにとってはノイズになりかねない。
それでも投入するこの心意気よ。

リズムをシェケレで刻んでコンガはソロ的に登場するだけってめずらしいアレンジ。
パーカッションは今をときめく若手パーカッショニスト・ぬましょうこと細沼章吾氏。

 

いかがだろうか

意識して聴いてみるといろんな曲でいろんなパーカッションが使われているのがわかる。
ぜひみんなもパーカッションに耳を傾けたり、取り入れたりしてほしい。本当におもしろいので。

この記事がみなさんがもっと楽しく音楽を聞けるようになる一助になれたらよいな、と思います。