どうも、喧嘩売る気はまったくなかった記事がやや拡散されてしまい「多方面に喧嘩を売ってる物言いブログをやってる奴」みたいになってしまっている筆者です。
書いた記事が
「楽譜読めない奴をバカにしている」
「酒飲んでライブをやっている奴をバカにしている」
と捉えられることが多くて、まあ少しでもバカにする気持ちがないかと言えばそれはゴニョゴニョなんですけど「楽譜読めなくてもいい人もよね」「酒飲んでやっていいライブやバンドもあるよね」とちゃんとフォローもしているし、本当にそう思ってるよ!
ぼくが言いたかったのは「楽譜読めろ」でも「酒飲むな」でもなく、「思考停止するな」ってことだったんですよね。
「楽譜読めないけど逆に知識にとらわれないのが最高!」「アルコールなんてライブのクオリティに影響しないっしょ!」というのは思考停止以外のなにものでもないわけで。それが「こだわり」まで発展しているならいいんですけどね。
思考停止、しないように気をつけたいですよね。ぼくも生活のありとあらゆることで思考停止している事柄があると思うのでとっても気をつけたいですね。
ところで、ライブハウスという場所がありまして、本日はこいつにまつわる記事でございます。
ライブハウスというのは、思考が停止したおっさんたちのたまり場で……うわこんな極端な筆致だとまた喧嘩売りブログになっちまう! いやいやいや今日は本当に物申し記事でっせ。
最近Twitterでチケットノルマ制について盛んに議論されているので、もう旬は過ぎてる感はありますが、ぼくもチケットノルマ制と、ブッカー(イベントを作成する仕事の人)のことを書いてみようか思います。
ライブハウスにはチケットノルマというものがあります。
これは「出演条件として15人の動員約束な。もし15人下回ったら不足分は払ってもらうから」というシステムのことです。演劇やお笑いなどにも同様のシステムがありますね。
条件は年々下がってきているらしいですが、2000〜2500円×10〜20枚くらいのノルマを課せられます。
バンドマンが貧乏なのは「機材を買うから」「飲み歩くから」ではなく「チケットノルマを払っているから」というところがかなり大きいと思います。みんなこの地獄から抜け出すために日々がんばっているわけですね。
なんでチケットノルマ制度なんてものがあるのかというと、そりゃライブハウスも維持費が必要なわけで。家賃や人件費や設備維持費やら、本当にバカにならないですから。チケットノルマとっていないライブハウスはどういうカラクリで経営できているんだ。
最近「チケットノルマは悪!」みたいな風潮強いですけど、ぼくはあまりそうは思いません。だってしょうがないじゃん。ライブハウスってお金かかるじゃん。かと言って手放しで賛成もしませんけど。
チケットノルマにだっていいところはある!
まずバンド側。「金さえ払えばライブハウスに出られる」ということです。
「音響や照明に専任のスタッフがしっかりついていて(しっかりしていないところもあるけど)、あこがれのバンドが出ていた・出ている場所」で、金さえ払えば「ライブができる」わけですよ。
客が呼べなかった分は自分たちで金を払って補填すればいいわけです。うわあ気が楽(「金さえ払えばいいから気が楽」なんて思ってる奴は一生売れません)。趣味バンドや固定客がいないバンドがライブハウスに出られる優しいシステムではないか。
あとはちゃんとバック(上がり)も出るんですよ。「○人以上の動員で○%バック」みたいな。すごい。がんばればお金ももらえるようになっている。
ライブハウス側にとっては「課したぶんのノルマが回収できれば確実に売り上げを抑えられる」というメリットがあります。
まあそんな簡単な話じゃないけどね。ノルマ回収してもお客さん自体が少なかったらドリンクが出ないから売り上げも落ちちゃうし。あとはいろんな事情でノルマ下げたりしなきゃいけないときもあるし。
すごいぞノルマ制! 動員があろうがなかろうが、出る側もライブハウス側も安心だネ! まあ簡単な話じゃないですけどね。
さて、ここからは「クソブッカー」の話をしましょうか。
ライブハウスには恐ろしい習慣、「精算時のお話」というのがあります。
出演後に「精算」という時間があり、ここでバンドとライブハウスがお金のやりとりを行います。不足分を払ったり、バックをもらったりするわけです。
このとき、ブッカー(イベントを組んだ人)からお話をいただくのが恒例になっているんですよね。
「新曲よかったよ〜」
「ギター音でかくね?」
「もっと歪み抑えたら?」
「ブレイク後のアタックがそろってないよね」
「次いつ出られる?」
といったありがたいお言葉をいただけます。時々「オメー楽譜も読めないくせになに音楽的なアドバイスしようとしてるんだよ」「オメーもっと音楽的なアドバイスよこせよ」とマジでムカついてドロップキックかましたくなったりします。
音楽的なことについて言及されるのはべつにいいのですが、「動員少なすぎじゃね? なめてんの?」と集客面について説教をかましてくるブッカーがいます。
これがな、まじできつい。
言いたいことはわかる。
集客できないバンドに価値はない。それはそう。でも駆け出しのバンドや地底バンドが呼べる人数には限界があるのだ。
みなさん、地底のバンドってファン何人くらいついていると思いますか?
答えは0〜3人です。
マジです。多くて5人とか。いちばん多いのはたぶん「0人」の層。何年やってもファンが0人のバンドなんてザラザラザラのザラ。ごめんこれガチ地底バンドの話だからね。
「バンド企画ではないハコのブッキングイベントに、こちらから声をかけなくてもやってくる固定客がついているバンド」は地底でも上位5%くらいのもの。ていうか平日のブッキングライブでダイレクトメールせずにコンスタントに5~10人とかお客さんがやってくるバンドはもう地底レベルではない。地下くらい。
「ライブハウスにふらっと入って自分好みのバンド探している人」なんていないからね。そんなん、赤緑サファリパークのガルーラより遭遇率低い。シンガーソングライター界隈にはオタクいっぱいいるのにね。なんでだろうね。
じゃあ地底バンドはどうやって集客してるのって、友達や知人や仲間の地底バンドマンに声かけたりしてるんですね。
「それって純粋な客じゃねえじゃん」
「なにも生み出さねぇじゃん」
「将来に繋がらねぇじゃん」
はい。その通りです。
なんでもないブッキングの日に「ライブやるから来てよ! 金は払ってね!」って人に声かけるの、よく考えるとけっこうアレな行為だよな。
だからやっぱり限界があるんですよね。最初は興味もって来てくれた友達だって、毎度毎度誘うわけにはいかない。
ていうか、知り合い呼んだところでそこから広がって売れるわけねーのよ(可能性はゼロではないけども)。それが純粋な"客"かっつったら微妙なところだから。たとえ無理矢理毎回知り合い10人呼べてそれが続いたとしても、そこから売れるわけないっしょ。本当に売れるためにはやみくもにライブに出るんじゃなくて、もっと別の形でアプローチしなければならないんだよね(バチバチにライブやってコツコツ上にいくバンドもいるけど)。それもライブハウスはわかっているのよ。
でもとにかく動員しろと。動員が大事だと。
いやわかるよ。でも待てよと。
じゃあオメーは客呼ぶ努力してるのか?
「もっと集客できるようがんばろうね」と言及するくらいならいいんですよ。ていうか、それは言われてしかるべきなのかもしれない。
でもあれ、ほら、ガチ説教かましてくる奴いるんですよ。その日のライブや音楽的なことには一切ふれずに(あるいはサラっとふれるのみで)、強い語気で「集客少ないけどやる気あるん?」とか言ってくる奴。
バンドがギャラもらっている場合は話は別ですよ。バンドはギャラに見合った分の集客努力をしなければならない。
でもさ、ライブハウスのイベントで、チケットノルマ制のときは、こう、違うやん。
客を呼べないバンドはクソ。それはそう。でも「バンドに集客の責任をすべて依存してオッケー」というのはどうなんだろう?
お前が「出てほしい」って言ったんじゃん。ノルマの条件で。それでこっちは動員不足分の金払ったよ? それでチャラでしょ? なんでさらに集客が少ないって怒るわけ!? お前の出演依頼に応えてやって金まで払ってやったのに!?(この思考は非常に乱暴ですし、普段は「これでチャラ」「応えてやった」「払ってやった」などとは思わないのですが、動員のことで怒られるとそういう気分になります)
「『おれも金だけもらってハイ終わり』ってしたくねえんだわ」って言う人いますけど、ぼくは「動員できなかったか〜。じゃあ不足分払ってね。ハイ終わり」でしかるべきだと思うんですよね。
もちろんバンドは集客できなかったことは反省するべきです。でもブッカーは既定の金もらっておいて怒ったりする必要はないし、不満を言う権利はないとは思います。
バンド側からしたら約束を守った(金を払った)のに怒られるという地獄。
怒る人はだいたい怒って終わりな印象があります。建設的で具体的なアドバイスは言ってくれない気がします。「今回ライブのお客さん少なかったね。これからどうしていこうか。〇〇とかしたらいいんじゃない?」とか言ったらいいのに「オメーやる気あんの?」で終わりみたいな。
そらまあたしかにずっと月2〜3回ペースでブッキングイベント出続けて自主企画もやらずにお客さんがいつも0〜2人のうだつの上がらないバンドは「ちゃんとしろや!」ってだれかに怒られるべきだとは思いますけどね。
「バンドのためを思って厳しい態度をとってる」とかいうなら具体的に集客の方法をアドバイスしてくれよ!!!!! って知らんか集客の方法なんて。
「集客の責任は100%バンド」「不足分の金をもらった上にえらそうに怒ってもよい」があたりまえなのは相当やばい業界だと思います(一昔前から見るとそういう人はかなり減っていると思いますが)。
「もっといろんな人に声かけたりしようよ」とかバンドに推奨するなら、じゃあ自分もやらない理由がないんじゃないのと思う。だってお前のイベントなんだし。お前の勤務先なんだし。お前の店なんだし。動員がお前の飯につながるわけだし。「おれの今度ブッキングするイベントめっちゃいいから来てよ」とかTwitterのダイレクトメールで誘えばええやん。
ハコのブッキングイベントにおいて、なぜバンドに集客のすべての責任がいくのがあたりまえとなっているのかがわからん。ぼくは動員の責任の8割はバンドにあると思います。でも残りの2割くらいはライブハウスやブッカー、イベントそのものにあると思います。なぜ多くのブッカーはバンドが責任100%だと思っているのか。そりゃバンドの企画だったらそりゃバンドが100%ですけども。
多くの腐れブッカーは集客の努力などまったくせず、どこのラーメン屋が美味いだのカレーがうまく作れただの最近読んだ漫画がおもしろいだのをつぶやくばかりで、イベント解禁したときの「良いイベント組みました!」と前日の「明日はこのイベントです!」と当日の「本日はこのイベントです!」の合計3回の告知をするだけやんけ。
まとめます。
チケットノルマの条件で出演依頼して、それに"応えてくれて"、"不足分の金をちゃんと払ってくれた"バンドに対して、自分(ブッカー・ライブハウス)は集客の努力をしていないにもかかわらず「動員が少ない」と怒るのは横暴じゃね?
「俺様のイベントに出させてやった」「出演する機会を与えてやった」って思考なのかな? お互いに「出てもらった」「出させてもらった」という思考になりたいものですよね。
ライブハウスに出演していかなければ音楽活動ができない、とかそういう時代じゃなくないですか? ライブハウスがえらそうにできる時代じゃなくないですか? いまほとんどのライブハウスはブッキングイベントに出演してくれるバンドがかなり減少して相当苦しいみたいですけど、そんなご時世に、バンドに集客の全責任押しつけて動員少なかったら怒ってやる気削いで……なんてことしていたらさらに出てくれる人減るんじゃないですか? ぼくは実際それでブッキングライブ出るのやめましたし。
これはぼくがあまえんぼのゆとり世代バンドマンだからこういう思考になっているんですかね? 違うでしょ。ことブッキングイベントにおいての集客は、バンドの努力とライブハウスの努力の両方で成り立つものでしょ。みなさん四谷アウトブレイクさんを見習っては……(店長のブーンさんのインタビュー記事貼っておくね)。
もう一度言いますが、ライブの集客ができていないバンドはクソです。思考停止でブッキングイベントにバンバン出ていつも集客0〜2人のバンドはクソです(こいつらには怒っていいのかもしれない)。
でもいつも思考停止で「自分は集客の努力をしないのに」「自分のイベントに出てくれたバンド、しかも不足分の金を払ってくれたバンド」に不満をたれるブッカーはクソカスだと思います。ていうかバンドが集客の努力をしてくれるようなイベントを作っては? 自分は毎回作れてるって? ああそう……。
そんなわけで、ぼくは「集客に言及される」のも嫌だし、「人にダイレクトメールを送ってまで集客する」のも嫌なので、自分が運営しているバンドはライブ出演をあまりしない方向にシフトしました。ライブハウスでの活動ではないところでファン(集客の要素)を作って、それができたらライブをやっていこうと思っています……がどうなることやら。
ぼくはときどき自分で企画を打つことがあって、その時は集客のために人に声をかけたりしますが、なるべく申し訳ない気持ちにならないよう、なるべく楽しんでもらえるよう、イベントは「全バンド出演して転換DJもやってフードも出す」というふうにエンタメ性をもたせたりしています。
……なんか自分語りしたら落とし所わからなくなっちゃった。
グダグダ文句書きましたけど、ぼくはライブハウスや界隈のことは嫌いじゃないですよ。お世話になっている人たち(ブッカー含む)は本当にいい人ばかりです。チケットノルマが悪い風習だとも思っていません(チケットノルマを設けなくてもよい世界がユートピアであることはたしか)。最近「ライブハウスは旧態依然としている悪の象徴」みたいに槍玉にあげられていてかわいそうだなと思っています。でも時代遅れでアホみたいな部分はたしかに多いかもね。
ブッカーも集客のことで怒ったり不満たれるくらいなら自分も客を呼ぶ努力しろよな。バンドに100%責任があるかって言ったらそれは違うと思うな。まあみんな「おれはTwitterで告知したりしてる」って言うんだろうけどさ。でもバンドも同じように努力してるわけで、だからバンドばかり責めるなよな。でもバンドはバンドでちゃんと客呼べるようにがんばろうな。やみくもにライブやるのは得策ではないと思うぞ。またこんな記事書いちゃったから「バンド全体の印象が悪くなるからこういうのやめて」ってメンバーに怒られるんだろうな。ぼくのことが嫌いでもぼくがドラムを叩いている各バンドのことは嫌いにならないでください! それでは。